オキュラーサーフェスとは
オキュラーサーフェスとは、角膜上皮・結膜上皮・涙液の総称のことです。これらは、眼の表面で相互に関連しあっています。オキュラーサーフェスの疾患は大きく分けて、「角膜」「結膜疾患」「ドライアイ」の3つがあります。
当院の院長は、大学病院勤務時代に「角膜専門外来」を担当するなど、オキュラーサーフェスの総合的な診断・治療を専門としております。
角膜・結膜疾患
こんなお悩みありませんか?
- 目がゴロゴロする
- 目がかすむ
- 目が充血する
- 目が痛い
- 涙が出る
- 角膜上皮びらん
角膜の表面が浅く傷ついて、角膜上皮にびらんが生じる状態です。目の痛みや充血、涙、異物感などの症状があります。点眼治療で治ることが多いですが、難治性のものもあります。
- 角膜潰瘍
主に感染が原因で、角膜が深く傷ついた状態です。傷は、角膜の5層構造の真ん中に位置する「角膜実質層」まで達していて、角膜は混濁し透明性を失います。目の痛みや充血、涙、視力低下などの症状があります。失明の危険もある病気です。
原因菌が何かを推定し、効果のある抗菌剤点眼を頻回に行います。表面の上皮が覆ってきたら、次は角膜混濁に対しての治療に移ります。
- 角膜混濁
結膜や角膜の炎症などが原因で、角膜が透明性を失った状態です。主な症状は「視力の低下」ですが、自覚症状がないケースもあります。ステロイド点眼が効く場合があります 。
- 角膜ヘルペス
体の抵抗力が落ちたときなどに、ヘルペスウイルスが活性化して発症します。目の充血、痛み、涙、視力低下などが主な症状です。角膜表面にヘルペスに特徴的な傷が生じます。ヘルペス用の眼軟膏にて治療しますが、角膜のさらに奥の炎症や虹彩炎などが生じることもあり、また角膜ヘルペスを繰り返すケースも多く、治療のさじ加減が難しい病気です。
- 角膜ジストロフィー
遺伝性の病気で、年齢が上がるとともに角膜に混濁が生じます。混濁が進行すると視力が低下してきます。程度の差はありますが両目に発症します。
治療はエキシマレーザーによる治療的表層切除術や角膜移植術です。
- 円錐角膜
角膜が円錐状に突出して薄くなり、視力低下を引き起こす病気です。
初期はハードコンタクトレンズの装用をしますが、進行すると、角膜移植を必要とする場合もあります。
- 翼状片
白目の結膜が、角膜の中に入り込む病気です。見え方に変化はありませんが、目が充血しやすくなります。進行の度合いによっては手術が必要となります。
- アレルギー性結膜炎
代表的なのは花粉症ですが、他の原因もあります。症状は目のかゆみ、めやに、異物感、痛み、充血などです。
抗アレルギー剤点眼をベースに症状によってステロイド点眼や飲み薬を追加します。
かゆみがなくなってもしばらく点眼を継続する必要があります。花粉症による場合は、花粉をブロックすることが大事でしょう。
- 春季カタル
年齢的には学童期に多い疾患で、重症なアレルギー性疾患です。上まぶたの裏に大きなごつごつした石垣状乳頭といわれる隆起が多発し、充血、痛み、目やにが強く、角膜に潰瘍を生じて視力低下をきたすことがあります。
春~晩夏が悪化し、冬は改善する季節性の疾患です。軽症ではステロイド点眼で改善しますが、重症な場合は免疫抑制剤の点眼が効きます。角膜潰瘍を生じないように、あるいは生じている場合は速やかに炎症を抑えて、石垣状乳頭を小さくすることが必要です。
年齢が上がり、大人に近づくと軽くなることが多いです。
角膜・結膜疾患の検査
細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査
オキュラーサーフェスの基本的な検査として、角膜・結膜の状態を観察します。染色をしてびらんや潰瘍の状態、涙の質の状態を把握します。
角膜形状解析
円錐角膜や強度乱視の場合に行う検査です。角膜の写真を撮り、山の等高線のように色分けをして、突出の形状を調べます。
角膜・結膜疾患の治療
的確な診断と薬の選択
角膜がダメージを受けている箇所と、その程度を正確に把握して、薬の選択と効果的な量を判断します。また、角膜の状態やドライアイの状態が中心でも、アレルギーをお持ちの方の治療の場合は「アレルギーを先に直すべきか」など、優先順位も総合的に判断しながら治療を進めます。
コンタクトの着用
再発性の角膜上皮びらんの場合、朝目覚めたときに、目の痛みを感じる方がいらっしゃいます。その場合は、治療目的でソフトコンタクトの装着を行うこともあります。
ドライアイ
こんなお悩みありませんか?
- 目が乾く
- 目に違和感がある
- 目がかすむ
- 光が眩しい
- 涙が出る
ドライアイとは
涙は、目の表面を覆ってバリア機能を果たしています。しかし、ドライアイになると、涙の量が減ったり成分が変化したりして、目の表面が乾燥し、角膜や結膜に傷が生じてしまいます。
ドライアイのタイプ
涙液減少型ドライアイ
目が渇いても涙がうまく分泌されず、涙が不足しているタイプです。
蒸発亢進型ドライアイ
涙の蒸発を防ぐ油膜がうまく作られず、涙が蒸発しやすくなるタイプです。
BUT短縮型ドライアイ
涙の量は少なくありませんが、角膜の表面で不安定な状態となり、涙の層が破綻しやすくなることにより涙が乾くタイプです。
ドライアイの原因
- 加齢
- スマートフォン・パソコンなど
- 部屋の空気の乾燥
- コンタクトの装着
- アレルギー性結膜炎
ドライアイの検査
細隙灯顕微鏡検査
角膜や結膜に生じた、傷の程度や有無を確認します。
BUT検査
瞬きの後、涙の層が何秒保たれるかで乾きやすさを判断します。目を開いてから5秒以下で涙の膜が壊れる場合、ドライアイの可能性があります。
シルマー検査
涙の量を調べます。涙の量が5mm以下の場合、ドライアイの可能性があります。
ドライアイの治療
点眼治療
ドライアイのタイプに応じた点眼薬を処方します。
ヒアルロン酸点眼、ムチン分泌促進剤点眼等があります。
ステロイド点眼を併用する場合もあります。
涙点プラグ
目の表面に点眼薬をとどまらせて、潤いを保つ治療法です。
涙は涙点から鼻に流れる構造になっているため、ただ点眼するだけでは治療効果が得られない場合があります。そこで涙点プラグで、涙点に詰め物をして、薬の効果を取り込みやすくするのです。